大学受験において、「東大一本で勝負するか、滑り止めも受けるか」という問題は、親にとっても本人にとっても大きな決断の一つです。進学校に通う生徒や、東大を目指すようなレベルの受験生にとっては、毎年どこかで話題になるテーマでもあります。
我が家の息子は、理科一類一本で勝負しました。つまり、滑り止めは一切受けず、前期試験に東大、後期試験も出願せずに、東大一本で挑んだのです。この選択に至った理由、メリット・デメリット、そして振り返って感じたことを、今回記事にしてみたいと思います。
「一本勝負」の決断
息子が東大を目指し始めたのは、高校2年生の夏でした。本人なりに目標を定め、「どうせ受けるなら一番上を目指したい」と。その思いは勉強を進めていくうちにどんどん強まり、高3のはじめ頃には「東大一本でいく」という言葉が出てくるようになりました。
もちろん、親としては不安もありました。滑り止めすら受けずに不合格になったらどうするのか。浪人しても合格できる保証はない。経済的にも精神的にも負担は大きいはず。でも、本人の覚悟は揺らぎませんでした。
もし東大が不合格で、滑り止めに合格をもらえたとしても、今は行きたいと思えない。ダメなら浪人するから東大一本で行きたい」と。私は息子の意志を尊重し、全面的にサポートすることを決めました。
一本勝負のメリット
今になって振り返れば、この選択が良い結果を生んだ要因の一つだったと思います。主なメリットは次の3点です。
1. 「駄目だったら浪人する」という覚悟が持てた
東大一本で勝負するということは、「落ちたら浪人する」という覚悟を決めることです。この覚悟があったからこそ、最後まで気持ちがブレることなく、本気で受験に臨めたのだと思います。中途半端な気持ちで「どこかには引っかかるだろう」と考えるより、集中力や意志の強さは段違いでした。
2. 東大対策に集中できた
私立大学の併願をする場合、どうしても別の出題傾向に合わせた対策が必要になります。問題形式も科目も違えば、時間配分や解き方も変わってくる。そういった意味で、東大対策一本に絞れたことは大きなアドバンテージでした。
赤本、過去問、模試の復習……東大に特化した勉強だけに時間を使えたのは、非常に効率がよかったと思います。
3. 経済的負担を軽減できた
大学受験には何かと費用がかかります。受験料、交通費、宿泊費……。私立大学をいくつも併願するとなると、ひとつひとつの受験だけで数万円が飛び、最終的には何十万円にもなるケースも少なくありません。
東大一本に絞ることで、それらの費用を削減することができました。もちろん模試や教材の費用はかかりましたが、それでも併願に比べれば負担はかなり軽かったです。
一本勝負のデメリット・リスク
ただし、これは「合格したからこそ言える」側面もあるのは事実です。一本勝負には当然リスクもありますし、実際に不合格だったら…と考えると、その重さは簡単に語れるものではありません。
1. 不合格=浪人確定の精神的プレッシャー
一本勝負は、言い換えれば「背水の陣」です。滑り止めがない以上、合格しなければ即浪人。つまり、春から新しい生活が始まる仲間たちを横目に、もう一年受験勉強を続ける覚悟が求められます。
この精神的な重圧は、思った以上に大きなものです。どれだけ本人が覚悟していても、本番が近づくにつれて「絶対に失敗できない」というプレッシャーは強くなっていきました。
2. 浪人しても合格できる保証はない
「一年頑張れば受かるだろう」と思うのは簡単ですが、実際は浪人しても合格できないケースは少なくありません。むしろ浪人すると、モチベーションの維持や健康管理の難しさ、勉強方法の見直しなど新たな課題も出てきます。
滑り止めを受けておけば、少なくとも大学生活はスタートできるという選択肢がありました。東大一本にしたことで、最悪の場合、滑り止めの大学にすら通えないリスクを背負うことになります。
3. 経済的・社会的な不安
浪人するとなれば、予備校に通う場合はその費用も必要になります。宅浪(自宅浪人)であっても、教材費や模試の受験費用はかかります。また、同級生たちが先に大学生活をスタートさせる中で、孤独感や焦燥感を抱える可能性もあります。
本人の性格や家庭の経済状況によっては、このリスクが大きすぎると判断する家庭もあるでしょう。
一本勝負が向いている人・向いていない人
東大一本勝負は、誰にでも勧められる戦略ではありません。向いているのは、
- 明確な目標と強い意志を持っている人
- 自分にプレッシャーをかけることで集中力を高められるタイプ
- 仮に浪人しても気持ちを切り替えて前向きに取り組める性格
逆に、プレッシャーに弱かったり、気持ちの切り替えが苦手なタイプの人にはあまり向いていないかもしれません。本人の性格や家庭の方針、経済的背景をよく見た上で、慎重に判断することが大切です。
最後に
我が家の場合、結果として東大理一に合格することができました。だからこそ、「東大一本で挑んでよかった」と今では胸を張って言えます。でも、あの時もし不合格だったら……と想像すると、やはり簡単に真似できる戦略ではないとも感じます。
大学受験は人生の通過点であり、ゴールではありません。滑り止めを受けることを否定するつもりは全くありませんし、それぞれの家庭・それぞれの受験生に合った形があるはずです。
一時は医学部も視野に入れた息子のはなし↓↓↓


