東大生といえば、勉強熱心で計画的、ストイックなイメージを持たれる方も多いかもしれません。しかし、実際に東大に通っている息子を持つ親として、現実は意外にもそうではないことを日々感じています。
息子が東大に入ってから数年。彼の周囲には、まさに“天才肌”と言えるような学生や、幼い頃から英才教育を受けてきたような学生がたくさんいます。しかし、そんな彼らの中には「留年」してしまう学生も少なくありません。むしろ、東大では“留年”は特別なことではない、という空気すらあるのです。
なぜ東大生は留年するのか。私が見ていて感じるのは、「金銭的な余裕」がその背景に大きく関わっているということです。
留年しても焦らない? 友人のケース
息子の友人にも、留年した学生が何人かいます。その中の一人は、2年生から3年生に進級する段階で必要な単位を取りきれず、1年留年することになりました。
普通なら、ショックを受けて当然の状況です。しかし、その友人はまるでそれを「ボーナス」のように受け止めていました。
「留年って、意外と悪くないよ。時間がたっぷりあるから、国内旅行も行けるし、バイトもできるし。親もお金出してくれるから、特に困ることはないしね。」
そう話す彼は、留年が決まってからというもの、講義よりも旅行の計画に夢中になっているそうです。もちろん、人生において経験は大事です。しかし、「学業の遅れ」よりも「余暇の充実」を優先できるというのは、やはり親の経済力あってこそだと感じずにはいられません。
わが家はシングルマザー家庭
一方、わが家はシングルマザー家庭です。経済的な余裕は決してあるとは言えません。息子が東大に合格したとき、嬉しさと同時に「これから先、どうやって学費や生活費を工面していこう」と、現実的な不安が押し寄せてきました。
それでも、彼は入学後すぐに奨学金の申請をし、バイトを始め、自分で生活費の一部をまかなう努力をしています。もちろん、親として支えられる限りのことはしていますが、「留年」という選択肢が、彼の頭の中に存在しないのは、その経済的な背景が大きいと思います。
「一度でも留年したら、それだけで生活が厳しくなる。奨学金にも影響が出る。そんな余裕、うちにはないよ。」
彼は口に出さずとも、その危機感を常に持っているようです。
危機感が成長を促す
私は、息子のことをいつも信じてきました。息子は、小学生の頃には、受験のことなど考えたこともありませんでしたが、中学生の頃から、目の前のことを自分で考えて決めるようになりました。高校受験の時に、志望校を決めたのは息子本人ですし、私は志望校選びに一切口出しはしていません。東大に合格したのも、私が厳しく指導したからではなく、本人の意志と努力があったからこそです。
しかし、もうひとつ大きな要因があるとすれば、それは「危機感」だったと思います。
「落ちたら予備校に通わせてもらうお金なんてない。だから、現役で合格するしかない。」
「東京で一人暮らしするのだから、自己管理ができないとすぐに生活が崩れる。」
そうしたリアルな背景が、彼の行動に真剣味を与えていたのではないかと思います。
東大で「甘え」が生まれやすい家庭環境
一方で、金銭的に余裕のある家庭では、子どもが失敗しても「また来年頑張ればいい」と、再チャレンジが当たり前になっています。浪人しても問題ない。留年しても問題ない。留学もできる。大学院まで親が面倒を見る。そうした環境は、確かに心の余裕や多様な経験を生み出す土台になります。
しかしその反面、「自分で自分を律する力」が育ちにくいのも事実です。留年を「時間の余裕」と捉える発想は、危機感のなさの裏返し。本人の人生の選択として尊重するべき面もありますが、私は「甘え」が生まれやすい構造のように見えてしまいます。
親の経済力と子どもの自立
もちろん、すべての裕福な家庭の子どもが甘えているわけではありません。余裕があっても、自分を厳しく律して生きている学生もたくさんいます。けれど、息子の周りで見ていて感じるのは、「甘え」が許される環境では、それを利用する学生も少なくないということです。
私は、自分がシングルマザーで、息子に十分な経済的支援ができないことを、申し訳なく思ったこともあります。でも今は、そうした背景が、息子の人間的な成長に大きな影響を与えたと感じています。苦労を知らずに大人になるより、多少の苦労を経て、自分の人生を自分で責任を持って歩ける大人になる方が、よいのではないかと思います。
最後に
東大に合格することがゴールではなく、その先の人生が本当の意味での「合格」なのだと、私は思っています。家庭環境は子どもの未来に大きく影響します。経済的余裕があることは決して悪いことではありません。むしろ経済的な心配なく、学業に専念できるのは、うらやましい環境です。しかし、それが子どもにとって「甘え」の温床になるようでは、本末転倒です。
私は、これからも息子を信じ、できる限りの支援をしながら、彼が自分の人生を主体的に切り開いていけるよう、見守っていきたいと思います。
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