「東大生になったら人生安泰」「東大に入ったら勝ち組」
そんなイメージを持っている方も多いかもしれません。でも、実際には東大に入ってからが本当のスタート。入学後にもさまざまな壁が待ち受けています。
今回は、東大生になった息子が直面した“東大の大変なリアル”について、「進学選択」と「履修登録」の2つの視点からお伝えします。
進学選択とは?東大独自の“成績勝負”制度
成績で進路が決まるシビアな仕組み
東大には「進学選択(進振り)」という、2年生前期までの成績で学部・学科を選ぶ制度があります。これは、全国的にも非常にユニークな制度です。
簡単にいうと、1・2年の教養課程では、文系・理系に分かれて「科類(文一・文二・文三、理一・理二・理三)」に所属します。そして2年の夏以降、一定の成績を収めたうえで、希望する学部・学科に進むことができます。
ただし、人気の学部や定員が少ない学科は、成績上位者から順に埋まっていくため、競争が非常に激しいのです。
王道ルートは比較的穏やか
たとえば、
- 文一→法学部
- 文二→経済学部
- 理三→医学部
といった王道ルートであれば、もともとその学部に直結する科類からの進学となるため、ある程度の定員枠が確保されており、そこまで激しい競争にはなりません。
しかし、他の学部(文系で入学→理系へ進学)や理系内での人気学科(特に情報系など)は、非常に厳しい進学選択になります。そもそも理科一類の学生は約1000人います。しかし理工学部の各学科の定員は数十名程度です。人気が集中すれば、成績が足りていない人は、希望を出すことすらあきらめることになります。
また、理三以外から医学部医学科に進学を希望する場合などは、超成績上位(平均点90点以上:上位1.5%以上)でないといけません。この成績を取ろうと思うと、東大受験期以上に、日々勉強を重ねる必要があります。
実際に起こる進学選択の“ドラマ”
息子は、理科一類から情報系の学科に進むことを希望していました。しかし情報系は時代の流れにより大人気。倍率も高く、少しでも気を抜くと進めない可能性があります。
息子は2年前期終了時点で、平均82〜83点程度(100点換算)の成績を取りました。この点数は、東大生の平均点が75点前後と言われる中、上位20%程度の点数です。
しかしこの点数を取るためには、単に理数が得意なだけではダメです。進学選択の成績には、外国語(英語)と、第二外国語(息子は中国語選択)の比重も大きく、語学が苦手だと大きなハンディになります。息子は語学が比較的得意だったので、語学に足を引っ張られることなく、無事に第一志望の学科に内定をいただきました。

実際に、理系の才能があり、プログラミングも得意な息子の友人が、語学でつまずき、希望していなかった農学部に進学したケースもあります。このように、成績次第では理科一類(理工学系)で入学しても、理工学部にすら行けないという残酷な結果にもなり得ます。進学選択の結果に納得がいかない場合は、降年(2年の秋学期に進まず、1年の秋学期に戻ること。)して、成績を上げて次の年の進学選択に参加するという方法があります。
第三段階になると“行きたくない学部”しか残らない?
進学選択は、基本的に以下の3段階で行われます。
- 第一段階:志望順位1位で希望を出す。(行きたい学部学科を一つに絞って提出)
- 第二段階:1段階目で不合格の場合、再度希望を提出する。希望はいくつでも出せます。第1希望がダメなら第2…第3と下がっていき、どこかですべり止まればそこが進学先になります。(例えば第10希望まで出せば、第10希望までですべり止まれば、第三段階に進むことはありません。
- 第三段階:2段階目でも不合格の場合、残った学部学科から選択する。ほとんどの学生が、第二段階までで決まるため、人気のない学部学科しか残っていません。
しかし、息子の年度では例外的に、法学部や薬学部といった人気学部も第三段階まで残るという珍しい年でした。
その年によって、人気の変動や志望者数の偏りがあるため、最後まで諦める必要はありません。ただし、第三段階で残っている学部学科が自分に合わないと感じた場合、選択肢はふたつ。
- 不本意でも進学して適応する
- 1年間降年し、成績を上げて再チャレンジする
厳しい選択ですが、それが現実です。
履修登録が難しい?うっかりミスが即・留年の危機に
東大の履修登録は選択肢が多くルールも複雑
進学選択だけでなく、日々の履修登録も東大生の頭を悩ませるポイントです。東大では、学期ごとに自分で授業を選び、単位数を調整して登録します。
一見、自由度が高いように見えますが、実はルールが非常に複雑。
- 必修科目を落とさずに取らなければいけない
- 卒業に必要な単位数を満たす必要がある
- 他学部履修や実験科目など、制約が多い科目もある
この仕組みの中で、登録ミスや見落としがあると、即・単位不足、即・留年につながる可能性も。
また、進学選択を見据えて履修登録をする必要もあります。例えば文系(文一・文二・文三)の学生が、進学選択で理系学部を志望しようと思うのであれば、2年の前期までに、理系のこの単位をとっておかないといけないといったようなルールもあります。
誰も教えてくれない履修ミス
高校までと違い、大学では教員や事務から「ミスしてますよ」と教えてもらえることはありません。
また、東大生の親御さんも、基本的には履修などは本人任せのケースが多いため、親が気づかないうちに留年決定というケースもあり得ます。
特に、初めての履修登録時期(1年春学期)は、本人も戸惑いがち。友人同士で情報を交換したり、先輩に相談したりする文化が根づいているとはいえ、油断は禁物です。
東大に入った後の“現実”を知っておこう
進学選択や履修登録は「入ってからの戦い」
東大受験は確かにハードルが高いですが、合格=ゴールではありません。むしろ、入ってからの「東大生としての生活」の方が、ある意味では厳しいともいえるでしょう。
- 学内の成績競争
- 志望学科への進学
- 履修ミスによる留年リスク
- 自主性が問われる学習スタイル
これらすべてが、自分で管理し、自己責任で進めていく必要があります。
東大に入ったからこそ見える“葛藤”と“成長”
もちろん、大変なことばかりではありません。進学選択で希望が叶わなかったとしても、新しい分野に興味を持ち、結果的に良かったという声もたくさんあります。
また、履修登録なども、一度経験すれば慣れますし、自分で計画を立てて学ぶ力が自然と身についていきます。
まとめ 東大生にとっての“本当のスタート”とは
東大は「入ったら終わり」の大学ではありません。むしろ、入ってからが本当の意味での挑戦の始まりです。
- 成績で進路が決まる「進学選択」
- うっかりミスが留年に直結する「履修登録」
- 自己管理能力が問われる毎日の学び
こうした現実を知っておくことで、より良い心構えと準備ができるはずです。
これから東大を目指すご家庭や、進学後に不安を感じている親御さんにとって、少しでも参考になれば幸いです。
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