試験本番になると、普段できていたことが急にできなくなる──。
「覚えたはずの答えが出てこない」「ケアレスミスを連発する」「解き方が突然わからなくなる」「時間配分がぐちゃぐちゃになる」……。
試験後に冷静になって解き直すと、「あれ、これ普通にわかってたじゃん!」と悔しい思いをしたこと、ありませんか?
模擬試験ならまだ笑い話で済みますが、受験本番で同じことが起きたら、それは合否に直結します。東大入試は0.1点勝負、チャンスは1回/年のみです。
私が知っている中にも、模試でずっとA判定を取り続けていたのに、本番では実力を出せずに不合格になり、浪人しても同じパターンを繰り返した人がいます。学力的には合格圏に入っていたはずなのに、「本番力の低さ」で涙をのんだのです。
勉強量や学力だけでは合格は保証されません。
本番で自分の力を出し切るための「本番力」を鍛えることは、受験勉強と同じくらい重要です。今回は、ありきたりな「深呼吸しよう」や「前日は早く寝よう」ではない、本当に使える・目からウロコの対策を紹介します。
1. 「頭が真っ白」になる正体を知る
本番で起きる現象は、単なる緊張ではありません。脳科学的には「過覚醒状態(オーバーアラート)」と呼ばれます。
試験本番では、自律神経の交感神経が過剰に働き、脳の前頭葉(思考や判断を司る部分)への血流が減ります。その結果、覚えていたことが一時的に引き出せなくなるのです。
つまり、「自分は本番に弱い」というメンタルの問題だけでなく、脳の仕組みとして“思い出せない”状態になるのです。
これを回避するには、単に落ち着こうとするだけでは不十分。脳を本番に慣れさせる訓練が必要です。
2. 【対策1】「条件反射で解ける状態」にする
本番では、脳の検索機能(思い出す力)が鈍ります。そこで重要なのが、思考を経由せず手が動くレベルまで習熟することです。
- 問題を見た瞬間に手が動く
- ステップを自動的に書き始められる
- 「あれ、どうだったっけ?」と考える隙を脳に与えない
これを作るには、同じ問題を「飽きるほど繰り返す」こと。
1回解いて終わりではなく、暗記カードのように反射的に出せる状態を目指します。数学の公式も英単語も、このレベルまで落とし込めば、本番で思い出せないという事態は激減します。
3. 【対策2】模試よりも「ミニ本番」を増やす
多くの受験生は模試を年に数回しか受けませんが、それでは本番慣れには不十分です。
おすすめは、週に1回、ミニ模試を自分で作ること。
- 本番と同じ時間配分で、過去問や予想問題を解く
- 机の上は試験本番と同じ配置にする
- 携帯や時計も本番仕様
- 必ず時間ぴったりに開始
これをやると、「試験開始直後の心拍数の上昇」「解き始めの手の震え」などを何度も経験でき、本番での動揺が減ります。
4. 【対策3】本番シミュレーション中に「わざと焦る」
意外かもしれませんが、試験中の焦りを想定した練習も有効です。
- 時計の針を見て「あと5分しかない!」と自分を追い込む
- わざと難問から解き始めて、心拍数を上げる
- 知らない問題を入れて混乱を体験する
ポイントは、「焦りを感じる」→「深呼吸で回復」までを練習しておくこと。
焦ったまま終えるのではなく、回復の手順を体に染み込ませるのです。
5. 【対策4】本番用ルーティンを決める
一流アスリートが試合前にルーティンを行うのは、心拍数と集中力を一定に保つためです。受験でも同じことが使えます。
例:
- 試験会場に着いたらまずトイレに行く
- 筆記用具を並べ、消しゴムを一度持ち上げる
- 問題用紙が配られたら右端からそろえる
- 開始前に3回深呼吸
- 最初の30秒は全体をざっと眺める
これを毎回の勉強や模試で同じように行うことで、本番でも安心感を得られます。
6. 【対策5】「自分だけの緊張ほぐしトリガー」を持つ
試験中に緊張がピークになったら、一瞬で心を落ち着ける「合図」を決めておきます。
たとえば、
- 小さく人差し指と親指を合わせる
- 消しゴムを軽く握る
- 心の中で短いフレーズを唱える(例:「今までやってきた」)
これは脳に「安心モードへの切り替え」を条件付ける方法で、心理療法のアンカリング技術に近いものです。
7. 【対策6】「ミスした後」の立て直しを訓練する
本番での失敗は避けられません。重要なのは、ミスを引きずらないスキルです。
- 間違えたら、紙の端に「×」とだけ書く
- 深呼吸して、5秒以内に次の問題へ
- 試験後に見直すことを決めて、その場では忘れる
これを普段から練習しておけば、ケアレスミス1つで全体の集中が崩れることを防げます。
8. 【対策7】試験前日の「脳の温め運転」
前日にガッツリ勉強して疲労をためる人が多いですが、本番力を高めたいなら軽く脳を動かすだけにしましょう。
- 朝は簡単な計算や英単語チェックで脳を起動
- 難問は避ける
- 睡眠は90分単位で確保(例:7.5時間)
脳を軽く温めてから本番に臨むことで、最初の1問目からエンジン全開で動けます。
9. 【対策8】「試験の一週間前」にやるべきこと
本番直前よりも、1週間前の準備が合否を分けます。
- 起床・就寝時間を本番当日に合わせる
- 朝型に切り替える(特に午前試験の場合)
- 試験時間に合わせて集中力のピークを作る
例えば午前9時から試験なら、8時50分〜9時10分の間に脳が一番冴えるよう調整します。
まとめ
本番力は才能ではなく、鍛えられるスキルです。
今回紹介した方法は、単なる「緊張を抑えるテクニック」ではなく、脳の特性や心理学を利用して確実にパフォーマンスを引き出すためのものです。
- 条件反射レベルの習熟
- ミニ本番の定期実施
- 焦りからの回復練習
- 本番ルーティンの構築
- 緊張ほぐしトリガー
- ミス後の立て直し
- 脳の温め運転
- 一週間前の調整
学力があるのに本番で実力を出せないのは、本当にもったいないことです。
この対策を日々の勉強に取り入れ、「わかっていたのに解けなかった」という後悔をしないように準備しておきましょう。
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