東大受験は誰のため?──「勉強する理由」を見つけた息子の話

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「うちの子、ほっといたら全然勉強しないんですけど、どうしたら自分から勉強するようになりますか?」

こんな相談を受けることがよくあります。確かに、子どもが自分から机に向かう姿を見られたら、それは理想的です。でも、現実はそう簡単ではありません。私の息子も、最初から自発的に勉強していたわけではありません。今でこそ東京大学に合格し、自分の将来に向けて力強く歩んでいますが、そこに至るまでには時間がかかりました。

息子が勉強を始めたのは、中学3年生の頃

息子が自分から勉強を始めたのは、中学3年生の頃。高校受験を意識し始めた時期でした。決して小さい頃から意識高く勉強していたわけではありません。それまで私が勉強しなさいと言ったこともありませんでした。

私が息子にかけていたのは、「勉強しておけば将来の選択肢が広がるよ」というアドバイスだけ。あくまで“情報提供”としての声かけで、強制ではありませんでした。

なぜ息子は自分から勉強をするようになったのか?

では、なぜ息子は自分から勉強をするようになったのか?

それは、「自分のために勉強する意味」に気づいたからだと思います。

息子は、明確な夢があるタイプではありません。医師になりたいとか、宇宙飛行士になりたいとか、そういうわかりやすい目標は持っていませんでした。でも「将来、安定した仕事につきたい」という思いがありました。これを聞くと、「夢がないな」と感じる方もいるかもしれません。でも、本人が心からそう思っていたのなら、それは立派な目標です。

私は息子にこう伝えてきました。

「これはあなたの人生だから、あなたが後悔しないように生きてほしい」

この言葉の意味を息子が本当に理解できるようになったのは、高校受験を前にして、自分の人生をどう生きたいかを考え始めたタイミングだったと思います。それまでは、ただのきれいごとに聞こえていたかもしれません。ですが、「自分がどう生きるか」という意識が芽生えたとき、ようやくその言葉の意味が腑に落ちたのでしょう。

「勉強は自分のためにするもの」という気付きが大事

勉強は、誰かのためにするものではありません。まして親のためではありません。けれども、本人がそのことに気づくまでには、やはり“時間”と“きっかけ”が必要なのです。

だから私は思います。子どもが自分から勉強し始める時期は、それぞれ違っていい、と。

例えば、中学受験塾に通わせているご家庭でも、子どもが「この中学に入りたい!」という気持ちを持ち、自分の意志で努力するなら、それはその子のタイミングです。でも、塾に行ってもまったく勉強しない、という場合は、まだ「勉強が自分に必要だ」と実感できていないのかもしれません。

そんな時、親がいくら「将来のためなんだから勉強しなさい!」と声を荒げても、子どもの心には届きません。むしろ逆効果になることも多いです。

「勉強はあなたのためだよ」と伝えることは必要ですが、押し付けるように言ってしまうと、子どもはかえって「自分のためにやっている」とは思えなくなってしまいます。だからこそ、親は“自分のために勉強する”という考えを「教え込む」のではなく、子どもが自分の内側から気づけるような「問いかけ」と「時間」を与えてあげてほしいと思います。

「あなたはどんな人生を送りたい?」
「何になりたい?」

この問いは、正解を求めるものではありません。子ども自身が考える時間を持つことで、「じゃあ、そのために今、自分は何をするべきなのか」と自発的に気づくチャンスを持てるのです。

受験はゴールではなく「手段」

子どもが自ら出した答えが、「大学受験」ではない場合もあります。美容師になりたいなら美容師の専門学校へ、音楽家になりたいなら音楽大学や実技の鍛錬を選ぶ。夢に向かって本気で努力して、その道でスペシャリストになることができたなら、それはその子にとって、これ以上ない幸せな人生ではないでしょうか。

受験は、ゴールではなく「手段」です。

その手段が本人にとって必要かどうかを、本人が考え、選び取っていくことが本質だと思います。

東大に合格した息子も、自分なりに考えて「大学進学が必要」と判断し、そのために努力をしただけのこと。だからこそ、誰かに強制されてではなく、自分の意志で勉強したのです。

勉強は、誰のためにするのか?

それは、間違いなく「自分のため」です。

その答えにたどり着けるように、親は子どもの一番近くで、見守り、問いかけ、信じてあげてください。焦らず、比べず、その子の「タイミング」を待って。

きっと、子ども自身がその時を迎えたとき、自分で歩き出してくれるはずです。


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