以前の記事をお読みいただいた方はご存じかと思いますが、我が家の息子は東大の二次試験で“大失敗”をしました。
■ 1日目:耐えの数学と無難な国語
二次試験初日。
数学は2完2半。完答できたのは2問、半分の出来だったのが2問。決して悪くはないけれど、合格を確信できるような出来でもない。
国語は可もなく不可もなく。東大の国語は差がつきにくいと言われているだけに、ここでは大きく勝負が決まらない。
初日の手応えは「ギリギリ戦えている」という印象。勝負は2日目に持ち越されました。
■ 2日目:化学で崩れ、英語で立て直せるか
2日目の理科・英語こそが、本当の勝負。残り2教科で全てが決まる…。
朝、受験会場まで歩いている時、息子はこう言いました。
「今日は、昨日よりもずっと緊張してる…」
試験を終えて帰ってきた息子に、すがすがしい表情はみられませんでした。
化学、特に有機が「全然分からなかった」とのこと。
試験直後、教室内で都内の進学校と思われる受験生たちが、
「化学、簡単だったよね!」
と笑顔で会話しているのを耳にしてしまった息子。心が乱れ、自信を完全に失いました。
帰りの本郷三丁目駅。多くの受験生が電車に乗る中、息子はホームで立ち尽くしていました。
「この電車に乗れない……」
他の受験生が試験の感想を話すのを聞くのが怖かったのです。
数本の電車を見送り、人が少なくなったタイミングでようやく乗車。
新幹線に乗る頃には、息子は静かに涙をこぼしていました。
■ 自己採点――330点(550点中)
翌日、予備校による解答速報や難易度分析が出そろいました。
息子は自己採点を行い、推定330点前後。例年のボーダーライン上。
「受かっているかどうかは五分五分」
絶望から、緊張と希望の入り混じった2週間が始まりました。
私はというと、もちろん不安でいっぱいでした。
でも、なぜか「受かっているような気がする」と、根拠のない直感を信じていました。
■ 合格発表:静かに流れた涙と安堵
発表前日。
息子は「結果は一人で見たい」と言い、「発表時刻ギリギリまで寝ていたい」とも言いました。
待つ時間が怖かったのでしょう。
3月10日、正午。
私はリビングのパソコンで。
息子は自室のスマホで、それぞれ発表画面を開きました。
画面いっぱいに並ぶ受験番号。
「怖い…」私は思わず、目をそらしてテーブルに伏せました。
顔を上げた瞬間……
「あった……ような、気がする……」
まだ番号を拡大して確認する前。
小さく小さく、でも確かに息子の番号が目に入った気がして、私は画面に顔を近づけました。
「あった……! 間違いない!!」
私は何度も何度も番号を確認し、静かに息子の部屋へ向かいました。
声に出すことなく、ただ静かに。
結果は、本人の目で確認してほしかったから。
スマホを手にしたまま、まだ見ぬ画面に指を止めていた息子。見るのをためらっているように見えました。
ようやくその番号を見つけた瞬間――
「……あった……あったわ…………………よかった……」
息子はそのまま床に伏せました。
私は背中をさすりながら、こう声をかけました。
「おめでとう。よかったね。いままでよく頑張ったね」
静かに握手を交わしました。
キャー!と叫ぶでもなく、ハグで抱き合うでもなく。
静かに、静かに。
合格を、春の訪れを、かみしめた親子の時間でした。
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■ 最後に
たとえ途中で崩れても、最後まで諦めなければ奇跡は起きる――
今回の東大受験は、息子にとって、そして親にとっても忘れられない試練と成長の物語となりました。


