東大に合格したわが子を育てる中で、何が力になったのかを振り返ると、「幼児期の言葉の発達」における関わりが大きな土台になっていたと実感します。知識は後からいくらでも身につきますが、「言葉」は思考の器であり、学びの原点です。
本記事では、「わが子の幼児期に、どのように言葉の発達を促したか」について、具体的な実践を交えながら綴ります。これは東大合格だけでなく、どんな子育てにも通じる「言葉を育てる関わり」の記録です。
1. 言葉は人との関係の中で育つ
まず大前提として、幼児にとって言葉とは「人とつながるための道具」です。私が心がけたのは、「話しかけられる機会をできるだけ多くつくること」。たとえば、赤ちゃんのころから「おむつ替えようね」「おいしいね」「お空が青いね」など、常に語りかけていました。
特に大切にしていたのは、「反応を待つ」という姿勢です。話しかけたあと、こちらがすぐに次の言葉を続けるのではなく、子どもの表情や声、動きを待ちます。この「間」が、子どもにとっては言葉を発する練習の時間。やがて「あー」「うー」といった声が出てきて、それが「ママ」「ワンワン」といった意味のある単語へと発展していきました。
2. 絵本は「語彙の宝庫」
言葉の発達において、絵本は欠かせません。私たちは一日最低でも3冊の絵本を読みました。といっても、義務感で読んでいたわけではなく、「一緒に楽しむ時間」として絵本を位置づけていました。
大切なのは、ただ読み聞かせるだけでなく、「その先の会話」へつなげることです。
たとえば『はらぺこあおむし』を読んだあとは、「イチゴ、食べたことあるね」「チョコレートケーキはどんな味だった?」などと話を広げていきます。こうしたやりとりは、語彙だけでなく、感情や記憶と結びついた「生きた言葉」を育ててくれました。
また、幼児期は繰り返しを喜ぶ時期です。同じ絵本を何度も読んでとせがまれることがありますが、それこそが言葉を吸収する最高のタイミング。大人にとっては飽きる内容でも、子どもにとっては「繰り返し」が定着の鍵なのです。
3. 「質問に答える」のではなく「一緒に考える」
言葉の力は、ただ単語を覚えることではなく、「自分の考えを言葉にする力」にあります。だからこそ、我が家では「質問攻め」にするのではなく、「一緒に考える会話」を大切にしました。
たとえば子どもが「なんでお月さまはついてくるの?」と聞いてきたとき。「それはね…」とすぐに答えるのではなく、「ほんとだね、ついてくるね。どうしてかな?」とまずは子ども自身の考えを促します。
そうすると「お月さまがぼくのこと好きだからかな」など、子どもならではの豊かな想像力が飛び出してきます。このようなやり取りを重ねることで、「考えて、言葉にする」という思考のプロセスが自然と身につきました。
4. 「正しさ」より「伝えたい気持ち」を尊重
子どもが間違った言い方をしても、すぐに正そうとしないことも意識していました。たとえば、「さかな」を「かさな」と言っても、「そうだね、お魚さん、泳いでるね」と受け止める。
言葉を育てるうえで一番大切なのは、「話すことって楽しい!」という気持ちです。矯正よりも共感。正しさよりも楽しさ。その積み重ねが、後の論理的思考や読解力にもつながっていきます。
5. 幼児期の言葉は一生の土台
東大に合格した今、わが子は「話す」「書く」「考える」という力に秀でていますが、それは一朝一夕に身についたものではありません。根っこにあるのは、幼児期にたっぷり言葉に触れ、言葉で気持ちを伝え、考えた経験です。
子どもとの日常会話の中で、「それってどういうこと?」「それをするとどうなるのかな?」といった対話を大切にしながら、言葉と心を丁寧に育ててきたこと。それが、結果として「学ぶ力」の土台になったと確信しています。
おわりに
「東大合格」という結果は、確かに特別に見えるかもしれません。でも、そこに至るまでの家庭での関わりは、とても地道で、どんなご家庭でも今日から始められることばかりです。
子どもが言葉を発する瞬間、その言葉を誰かがちゃんと受け止めてくれる安心感。そして、そこから広がる対話の世界。それこそが、未来につながる「学びの根っこ」なのです。
幼児期にたっぷり言葉のシャワーを浴びた子どもは、やがて自分の言葉で世界をつかもうとします。その力は、大学受験に限らず、どんな時代にも必要とされる「生きる力」です。
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